事例の紹介
CASE EXAMPLE
2019年2月25日 11時44分

【対談】「こもねっと」の15年(後編)

清家:清家裕二さん(企業組合こもねっと事務局長/宇和海郵便局長)
澤 :澤 尚幸(一般社団法人Community Future Design代表理事)

 人を呼び込む

夏のこもてらす。現代彫刻がいいアクセントになっています。
夏のこもてらす。現代彫刻がいいアクセントになっています。

澤:15年で人口100人減という話がありましたが、人口を増やすとか、若手がUターンできる環境作りをする、高齢者のサポートのようなものは何か取り組まれていますか?

清家:先ほどお話した通り、最初は、産業の活性化が目的であった「こもねっと」ですが、行政から見ると、こういう団体が地域にあるからだと思いますが、高齢者対策や介護の受け皿のようなものになってほしい、というような話もいただくようになりました。

澤:具体的には、どのようなお話でしょうか?

清家:今後、介護保険制度が縮小されるという動きがある中で、3年前から地域の高齢者の支援を行うための体制作りを、3年間の実証実験という形で行っています。
シルバー人材センターのようなものを設立し、ボランティアを募集して、高齢者の支援を行うという形です。ボランティアに応募してくださったのは、10人。といっても、半数は60歳以上です。
ただし、課題がいろいろ出てきます。
ボランティアの中には、移住者の方もいますが、この地域の文化を知らないので、良かれと思ってやったことが、クレームになるというようなケースもありました。

澤:よくある話ですね。そもそも、移住含め、外部の人材を受け入れるときには、受け入れのための研修のようなことは行わなかったのですか?

冬のこもてらす。穏やかです。
冬のこもてらす。穏やかです。

清家:市役所が委託した企業による研修はあったのですが、「介護保険制度の研修」であって、地域に受け入れられるための内容ではなかったのです。こういう課題を解決するためには、

(1)地域に受け入れられるため、地域の人が外部の人を受け入れるため、の双方の研修が必要だなというのが一つ
(2)二つ目は、中学生や高校生などにこそボランティアに参加してもらい、この地域の良さを知ってもらいつつ、子供には文句を言わないという大人の気持ちをうまく利用する

の2つの方法があるなと思っています。

澤:孫ターンという言葉を私は作ったのですけど、おじいちゃんは、孫には優しく、子には厳しいので、孫が戻ってくるというパターンもあるようです。

清家:この地域は、中学から寮に入る場合が少なくありません。だからこそ、地域とのふれあいの場を作っていくのも、「こもねっと」の未来像の中に入れておきたいと思っています。

澤:移住の方も多いのですか?

清家:釣りが趣味の人が移住してきています。よく釣れるらしいです。徳島や大阪などからも釣りに来る人がいますね。地形のよさと南北の海流が行き来するため、よい漁場のようです。

澤:ただし、なかなか仕事はないですよね。

清家:そうですね。非常勤の仕事や、養殖の仕事の手伝いくらいになっていまいます。

澤:こうやって、こもてらすで、海を見ながら、波の音をBGMに聞きながら話していると、とてもクリエイティブな感じがしますが、二地域居住の促進のようなものは考えておられないのですか?

清家:二地域というのは考えていなかったですね。古民家もないし、あまり魅力がないと勝手に思っていました。お聞きしていると可能性もあるように感じてきました。
現段階で考えているのは、都会の子供の受け入れのようなものは実現したいと思っています。保育園の廃園や寮のある中学校が廃校になってしまい、その活用や、林間学校のようなものを受け入れることはできるのではないかと思っています。

澤:松山空港からなら2時間ですし、シェアハウスのような仕組みで、釣り好きなら来る人いそうですけどね。
子供達も、この景色と環境を見たら、いずれ、また来たいと思ってくれるように思いますよ。

清家:蒋渕小学校は全校10人です。
でも、給食は作りたて。給食センターから配送されてものではなく、ちゃんと地元の鯛なども使います。異動してきた先生たちが「ここの給食は宇和島一」と言ってくれます。都会から来た子供達にも、この味を味わってほしいなと思います。

澤:食は、基本ですから。効率化も大事ですが、効率化してはいけないものもあるように思います。
私も、一クラス10人という小さい小学校でしたが、同級生のお母さんが給食室勤務で毎日作ってくれていました。「おふくろの味」を毎日ですね。おかげで、今でも、食にはうるさいです。今日のとれたてのブリも、鯛でとった出汁のわかめのしゃぶしゃぶも絶品ですね。

『わかめのしゃぶしゃぶ』と『とれたてのブリのお刺身』
『わかめのしゃぶしゃぶ』と『とれたてのブリのお刺身』

清家:ありがとうございます!

澤:経済のこともあるし、来る人、受け入れる人双方の意識改革をしながら、外部人材の呼び込みは是非やるべきだと思います。

 郵便局長として

澤:先ほど、販路拡大のために郵便局長のネットワークの活用をお考えになっていると言われていて、そもそも、Uターンをして地域を活性化するのが目的だったから、そのために郵便局長になった、ということも言われていた清家さんですが、郵便局長というお仕事はどのように考えておられますか?

清家:じいさんからは「揉め事の仲裁、役場とのやりとり、そういうのが清家の家の仕事だ」みたいなことをよく言われました。
そもそも、網元が本業で、郵便制度ができた時に地域のために情報流通は大切だ、ということで、郵便局も始めた、という印象が強かったのだと思います。

澤:私も、郵政省に入省した当時の局長さんたちには、「地域のこと」というキーワードをよくお聞きしたように思います。
そういう意味では、清家さんの「こもねっと」は「地域のこと」を解決するということそのものですね。すでに網元ではなくなっているけど、そういうカルチャーというかDNAが、清家という家に残っているということなんでしょうね。

清家:そうかもしれません。そういえば、澤さんも網元の家だったですよね。

澤:はい。すでに当然に網元は廃業してます。おじいさんまでですね。
おじさんは町議会議員とかやってましたね。なんだか、もめごとあると出て行って、あーだこーだやってました。
名士という言葉をあえて使いますが、名士が、地域のために、本業とは別に郵便局という副業を始めた。その副業が、本業に変わっていく中で、「地域のため」というDNAが、新しい「こもねっと」という副業を生んだ。その「こもねっと」がもしかしたら、本業に変わっていく、という時代が出てくるのかもしれない、そんな気がしました。
情報ネットワークは、デジタルの時代に移行していますから、「品質」のようなものも含めた、心のあるネットワークのようなものを、地域の「名士」の皆さんが新たに構築する時代になっているように思います。
さと尚さんが、「コミュニティっていうのは、継続的に包み込んでくれる安心な居場所なんじゃないか」ということを言っているんですが、その一つの代表例に「こもねっと」がなっていくと良いな、と感じました。
今日は、長い時間ありがとうございました。

清家:こちらこそ。まだまだ、わかめもぶりもありますから。
鹿も初めていただくけど、美味しいなぁ。

澤:え、清家さん、鹿は初めてだったんですか?

清家:はい(笑)

<前編はこちら>

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