事例の紹介
CASE EXAMPLE
2017年9月8日 11時00分

【対談】「農業女子」という働き方(後編)

岩崎:岩崎 麻佐子さん(女性未来農業創造研究会 理事 / 株式会社三陽商会 経営統括本部 経営企画部 担当課長)
澤 :澤 尚幸(一般社団法人Community Future Design 代表理事)

地方創生における女性の活躍

:それでね。ちょっと話変わりますけど、地方創生に関わる仕事しているんですけど、地方創生案外うまくいっているところってだいたい女性が活躍しているんですよ。女性がキーパーソンでいるんです。

岩崎:わかります、わかります。
そうなんですけど、面白いのは必ず最後の一押しをするのは男の人なんですよね。フォーラムなんかで女性たちが、「男性は何もしなくってもいいから邪魔だけはするな(笑)」って女性たちはみんな口を揃えて言うんですけど。
でも活躍している女性たち、最後のところは男性がフォローしている。

:ああ、ありますね。別の地域でも、官の方も女性、動いている民の方も女性なんですけど、その上で見守っているのは男性という形がありました。実質の方向感とか作っているのは女性二人なんですけど…

岩崎:整えるのは男性。仕組み作りは断然男性の方が上手な気がします。

:そうそうそう。その役割分担がうまくいっているところっていうのは上手にやれている。さっきHUBになっているって話ありましたけど、そういうHUBになるには、女性がよくって共感力も高いし、理屈でごりごり言うわけではない。

岩崎:わたしは農業女子もそうなんだけど、企業もやっぱりそういう方が上手くいっているのではないか?と思うんですけどね。いま、膠着している会社ってすごく多いと思うのですけど、男性って良くも悪くもなんですけど、やっぱり組織論みたいなこと考えちゃう。でも、組織になったほうが決まった後は早い。決まった後の徹底力も男性の方がやっぱり上手。だけど、女性の方がそういう組織のことあまり考えずに、これはいいとか、これは悪いとか、ここと繋がりたいとか感覚的にやってしまえる。スピード感もある。そこをうまく活かせば…。器作りは男性の方がうまい。

:ある有名な女性経営者の方の発言ですけど、営業は女子の方がいい。でもね。番頭さんは男性じゃあないとダメって。(笑)
昔は女将がいて番頭さんがいる。だから女将が営業でお客さん繋いでくるんだけど、お金の勘定とかマネジメントは男性なんだって。うまいこと言うなぁ…って思いました。

岩崎:そうですね。女性に活躍して欲しい。

:なんとなくね。旅館は女将がやっているでしょ。で、みんな女将に会いに行くのね。営業。だいたい女将が出てこないと旅館に行った気がしないって(笑)
飲み屋もね。板前さんあまり前に出てこない。

岩崎:みんな女将に会いに行く。

:でね。地方創生と農業女子の関係というか、以前から考えていたんですけど、ここかな?と。女子力使わせてもらおう!って。
まとめていくHUBになる力は女性かな?地方創生ってそれを使わないとねと。でも、役所が関わっているからかなぁ…地方創生ってなんか男子力なんですよね。

岩崎:役所の人たちっていうわけではないけど、男性に多いのかも知れませんが、クロージングに入らなければ、どっかでまとめていかなければ、というのを最初から決め打ち的にやるからですかね。お料理をしなくちゃしなくちゃって姿勢で来ちゃうから、そこがね、うまくいかなかったりするのかもしれませんね。
それをまず外して、それは三回目から四回目からになるまで待っててって。

:そう、すごい一生懸命戦略立てて、KPIとか決めて…それでこの通りできますか?って聞かれたりして…。いやいや、環境変わったらできませんよ(笑)って答えざるを得ない。そういう意味ではステップ決めて、一年経ったら見直すとか半年たっておかしかったらもとに戻すとか、そういう仕組みが地方創生に、企業もそうですけど、入っていた方がいいかなぁ…と。

岩崎:ある大手企業とかでね、マーケティングの販促費用をどう使っているかという中で、「1:2:7」っておっしゃる。1はもう新しいことなんでもいい、2はその中でおもしろいな。なんか芽が出そうだなってことに使う。7が既存のものに使う。徹底してそういうことやることで働いている人たちはやりやすくなる。そうすると若い人にもやらせられる。あの会社はそういうことやれるからっていうので、外部からいい提案もいっぱい持ってきてくれる。
ただし、ちゃんとエグジットルールではないけど、どうなってしまったら組織のルールに基づいてちゃんと止めますというのも決めておかないといけない。

:そういう意味では、地方創生だと補助金とかね、企業だとガバナンスの問題とかもそうで、いろんなことの仕組み自体を変えないとうまくいかないかもしれない。

過渡期における男女の役割分担

岩崎:働き方改革とかいっても、その組織の運営の仕方、組織の意識が変わらないとなんにも変わらない。

:だから本当は働き方を変えなくちゃいけないんじゃあなくって、役割分担の仕方を変えなくちゃいけないのではないか?と思うんですけど。

岩崎:役割分担…そうですね。
上手い役割分担。受け入れるって姿勢は確かに女性の方が得意かもしれない。で、じゃあ、それをどうやって会社に落とし込むか?組織に落とし込むかっていうのは、もしかしたら男性の方が上手かもしれない。
ただ男性は、そのことはわかっているけどねー。でもねーっていうの多いんです。
でも、本当にわかってる?って…。女性だと感覚的に今だとAIとかIOTとかでも受け入れちゃったりするんですけど、男性の場合、まずフィルターではねのけちゃうこと多い気がしますね。それで、これをはねのけない組織が生き残っているのかもしれないとか思っちゃうんですよね。でも、はねのけないから受け入れた、のではなく、意志をもって受け入れないといけないんですけどね。

:こっち男性ですからね。正直に反省すると、そのはねのけちゃうってのはね。頭ではわかっているんですけど、あるかもしれないですね。(笑)

岩崎:でも男性は納得すると早いんですよ。納得するまでに時間がかかる。そこがちょっとね…と思うことあります。むしろ勝負はこの一年!とかいう時になかなか決断できなければ、時間の無駄かもしれない。じゃあ、予算ないけどこれまでの1割の予算で取りあえずやっちゃおうっていうのは女性の方ができちゃうんですよね。いまの最小の予算でいいから、とりあえず、なにができるんだろう?って考えるのは女性の方がうまいかも。

:あーそうそう、とりあえずやっちゃおうってのね。そうそうそれがなかなかできない。

岩崎:よくある話ですけど、女性は冷蔵庫の中のもの、あり合わせで…とかね。
男性だと、これをやるにはじゃあこの資金が…というような大きい風呂敷になっちゃって、そこまで風呂敷拡げて考える。ちゃんとどんなことも失敗するよってこともちょっとあるかなぁ…と思ったりすることもあります。
市とか県とか、じゃあやるなら予算…とかじゃあなくってトライアルなんだから女性に任せて、身の丈を知っているのは女性なんだからってね。これだけしかない。じゃあこれだけちょうだいってこともちゃんと計れますからね。

:知り合いのある会社の社長でね。男性ですけど、ずっと悩んでいるんですよね。なかなか決断できない人だなぁ…って思っていたんですけど、それ決められないんじゃなくって、もっといい方法がないか?とか悩んでいるんですよ。いつも完璧を目指し続けるから、もう期は遅いとかなっちゃう。ところがね女性だとこういう風にはならない。とにかくやっちゃえば(笑)って。いいじゃんとにかく今これに乗っとけば、時代感もあるんだしってなる。

岩崎:いまこの集まりに参加しておかないと、あとでは難しいよ。乗り遅れちゃうかもっていうような感覚を女性は持っているのかも。

:もちろん、伝統工芸とかもありますから、仕事で完璧を目指すってのも大事なんです。だけど、ここでなんとかしとかなきゃって時には女子力使うのが大事かなと思ったりします。

岩崎:まあ、必ずしもすべての女性がそういうわけではないんですけどね。女子の中にも完璧目指す人ももちろんいますし。

:そうですね。男性/女性ってちょっと紋切り型になっているかもしれないんですけど。ただ、今、圧倒的に男子だけになっちゃっている組織が多いですからね。なんかちょっと足りないモノがある。地方創生も男性中心なんですよね。なんでかっていうと自治体に圧倒的に男性が多すぎるからだと思うんです。そこに少し風穴をあけてあげると随分変わる。
中央官庁でもやっと今は採用は男女半半くらいじゃないでしょうか。女性が権限持ってやるためにはあと20年くらいかかりそうかな。

岩崎:女性の活用って言葉ね。なんともひどい言葉ですよね。何%女性を入れましょうとかね。そういう風にするとうまくいかないと思っていて、この役割だから女性の視点が欲しい、必要とかにしないとなかなかうまくいかないと思うんです。むしろ、女性も一緒にやりましょうよってことで女子のパーセンテージが上がってくるってのはわかるんですけど、国が目標値を設定して女性何%登用しましょうとかになっているから、じゃあ役員一人入れるかみたいなことやってもねと思います。で、そういう時って、モノ言わない女性入れちゃうこともあるんですよね。形だけの代表として入れちゃう。

:かつ役員になることが女性の感覚としていいのかどうかもわからないですよね。

岩崎:わからない。本当にそうですね。

:なんとなく役員は偉くていっぱい給料もらっているからそういう結果になっているだけなんじゃないでしょうか?

岩崎:それだったら役員じゃなくてもいいんです。部長でも課長でも(笑)決定権があればスピードを求められる現場に女性がいたほうがもしかしたらいいかも。

:役職とかなんとかで決めちゃうからおかしなことになっちゃう。
上か下かなんかは年齢でもなんでもいいんですけど、役職より役割で決めて、例えば女性の営業ですごいひとがいて、その人が組織のトップになった。その時にトップという役職だからこの仕事をしなくちゃいけないとかなっちゃう。一方で、男性で営業は苦手なんだけど、ナンバー2かなんかで営業見ないといけない役職。役職で仕事しちゃうとどっちも自分の苦手なことで仕事しなくちゃいけなくなる。役割分担変えなければいいんじゃないか?と思うんですけど…仕事は役割で決めればね。そんなことならないですむかと思うんですけど。

岩崎:わかります。

:職制で決めるのではなく、その人の特性において決める。但し、給与はなんか別の仕組みで決める。そういう風に仕組みをなんか変えないとね。

岩崎:まあ、まだ過渡期なんでしょうね。男性とか女性とか関係なく組織はフラットにしちゃうのがいいと思うんですけどね。まだ日本は遅れている。外資とかね。もう仕事ができるかできないかだけですから。

:うん。その方が組織は最適化しますよ。おそらく。その方が合理的なんだと思う。あなた得意だからそれやってって言っているだけですよね。そこには国籍も性別も関係ない。上席はなにを見ているかというと適材適所。それだけ。

岩崎:教育かな。適材適所を見極めるための教育がされていればそうなっているはず。でも、そうなっていないってことはそういう教育をされていないからだと思う。男性も理性的にそのことわかっているひともいると思うんです。でも、同様に女性がわかっているか?というとそういうわけでもない。女性もやっぱり男性/女性という枠組みにとらわれているし、そういう古典的な教育受けちゃってますからね。すり込まれている。
組織が次のステップにいい感じで行こうとしているときにただ、女性の数だけの問題にしてしまってもね…と思います。

:まあ、男女の話しちゃってますけど、地方の創生の話にしても、地方法閉鎖性ってのがあって、そういう閉鎖性の中での立ち振る舞いは女性の方がうまいとは思っているんです。だから少し女性を地方で活躍してもらえるようにプッシュしたい。さっきの国籍も性別もって話ありましたけど、実は年齢の差もなくって、80代の人が頭がいいわけでもなく、20代が幼稚でもなくって、全体で最適化しようとするとちょっと一時的に逆張りせざるを得ないですよね。そういう意味で一時的に女性をプッシュするという過渡期だけの話かな?とは思ってますけど。合理的な判断をすればいいんだと思うんです。

岩崎:まあ、過渡的なんですよね。

:農業女子の話から、女子力の話にいったけど、女子力もなんか変な言葉だと。なんとなくでもいま女子力とか言わないとバランスがとれない。逆張りですね。今の状況だと要するに逆張りしないといけないというかね。さっきの何%の話もそうなんですけど、そもそもそれだったら50:50にすりゃいいじゃんってね。
なかなか最適化されないんですけど、なんども言いますけど、過渡的なんですよね。
ありがとうございました。

岩崎:ありがとうございました。

<前編はこちら>

 

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